acas社長 大浦昌尚ブログ
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カーテンが開いた 2

2019.11.06

WOKERZ EXIT vol.3が手元に届いた

夢の家フェスティバルを掲載していただいたが
それ以上に他の紙面が大変興味深く

一気に読んでしまった

 

なかでも

安全帯(高所作業時に着用する命綱付きベルト)が法改正により

どんなものになっているのか

国内では年間2万件の墜落・転落死傷災害が発生しており

2018年には墜落事故により214名の高所作業者が亡くなっている

事実に驚きとその仕事の過酷さ、そして尊さを

改めて知った

 

いつの時代にも命がけで一生懸命に働く人たちがいる

そんな人たちのお陰で今があることを感謝したい

 

だからこそ職人さんたちは子どもたちに

やさしいのかもしれない

 

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『カーテンが開いた』2

桜が見ごろを迎えていた。

昨年4月8日の昼下がり。

快晴。

神戸の須磨離宮公園に近い兵庫県立こども病院の

周産期センター建設現場。

高さ40メートルのクレーンに二人の男が上っていった。

■クレーンに鳶2人

ニッカポッカのズボンに地下足袋。

鳶(とび)の頭、安永政勝(38)と仲間の佐々木満(37)だ。

こいのぼりを手に抱いている。

現場作業所長関吉和明のアイデアのこいのぼり。

ビニール製だが、大きめのを選んだ。7万円。

鳶になって12年。

関西新空港、美浜、高浜原発の仕事もしたことのある安永。

が、現場にこいのぼりをつるすなんて思いもよらなかった。

二人は要領よくつるしていく。

緋(ひ)ごいや真ごいが春の風に泳ぎ出した。

■子どもが手を振った

その時だった。

40メートルほど離れた病院本館の窓に「異変」が起きた。

直射日光を避けるため昼間は閉じられていることの多いカーテン。

それが次々と開いていく。2か所、3か所、そして数えきれない。

病室の子どもたちが手を振っている。

二人も思わず手を振り返した。

クレーンから下り、安永はプレハブの2階にある所長室に駆け込んだ。

目が赤い。

「所長!子どもが手振ってくれた」。

関吉にも熱いものが混み上げてきた。

■「木炭の煙のせいだよ」

翌日は、現場作業員らの交流の焼き肉大会。

100人近くが6つのドラム缶を囲んだ。

安永は人気を独り占めにした。

仲間の席を回り、前日の「こいのぼり事件」の子細を伝えた。

肉を盛った皿があっという間になくなり、缶ビールが次々と空いていく。

「子どもらが…。そうか、そうか」。

いかつい男たちの目がうるんでいた。

「木炭の煙のせいだよな」。

一人の声にみんなが、ドッと笑った。

現場が一つに。

関吉はそう感じた。

(敬称略)1994年(平成6年)2月8日

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大浦昌尚
株式会社アクアス

代表取締役
大浦昌尚 Masanao Ohura

大和の国に生を受け、とても明るい家族と周りの人と自然に育てられ、まじめで正義感が強いのは父譲り、面白く発想が豊かなのは母譲り、棟梁と指物師の両祖父の血を引き迷うことなく今の仕事に。 多くの人に助けていただき育てていただいた半生。これからご恩返しです。
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